2009年04月20日

わかりやすい経理実務のレッスンの11回目です。

今回は、「損益計算書」の「5つの利益」について詳しく説明します。

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「売上高」から「売上原価」を差し引いたものが売上総利益です。商品や製品を売ることなどで稼いだ利益を表しています。

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営業総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものが営業利益です。この営業利益は、会社本来の営業活動から生じた利益を表しています。

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営業利益に、営業外収益・営業外費用を加算・減算したものが経常利益です。経常的な会社の活動から生じた利益を表しています。

その企業の収益力を表す指標といわれており、対外的にも最も重要視される利益の一つです。


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経常利益に、特別利益・特別損失を加算・減算したものが税引前当期利益です。

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税引前当期利益から法人税、住民税および事業税などを支払って最終的に残った利益が、当期純利益です。



次回は、「貸借対照表」について具体的に取り上げたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 13:35 | Comment(9) | 経理入門

2009年04月16日

わかりやすい経理実務のレッスンの10回目です。

今回は、「損益計算書」の「5つの費用」について詳しく説明します。

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商品や製品の原価が売上原価です。

商品・製品を他社から仕入れている場合には、仕入金額が売上原価になります。

自社で製品を作って販売している場合には、製造原価が売上原価になります。


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商品や製品の販売行為や一般管理活動のために生じた費用をいいます。

販売手数料や広告宣伝費、交際費などの販売費

荷造り包装費や運搬費

役員や従業員の給料や法定福利厚生費などの人件費

その他水道光熱費や交通費、通信費など

営業活動に必要な経費はすべてここで計上されます。


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本来の営業活動以外の活動に要した費用を示します。

借入金の支払利息や株式の売却損といった金融取引によるものが代表的です。


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長期保有を目的とした有価証券や土地の売却損など本来の営業活動以外で、臨時に発生した損失を示します。

営業活動以外の費用という点では、営業外費用と同様ですが、営業外費用が経常的なものを対象としているのに対して、特別損失は非経常的なものを対象としている点でことなります。


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利益に課せられた法人税や住民税、事業税を示します。


次回は、「5つの利益」について具体的に取り上げたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 10:02 | Comment(10) | 経理入門

2009年04月15日

わかりやすい経理実務のレッスンの9回目です。

今回から数回にわたり、「損益計算書」の「3つの収益」について詳しく説明します。

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損益計算書における売上高は、商品・製品の販売、サービスの提供などの、いわゆる本業でどれだけ稼いだかを示すもので、「営業収益」と呼ばれることもあります。

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本来の営業活動以外から発生した収益を示すもので、預金や株式投資からの利息や配当金といった金融取引によるものが代表的です。
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長期保有を目的とした有価証券や土地の売却益など、本来の営業活動以外で、臨時に発生した利益を示すものです。

営業活動以外という点では、営業外収益と同様ですが、営業外収益が経常的なものを対象としているのに対して、特別利益は非経常的なものを対象としている点で異なります。


次回は、「5つの費用」について具体的に取り上げたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 09:53 | Comment(47) | 経理入門

2009年04月13日

わかりやすい経理実務のレッスンの8回目です。

今回から数回にわたり、「損益計算書」について詳しく説明します。

「損益計算書」は、3つの収益5つの費用から、5つの利益を表示しています。

一般的な形式は、下記の通りに「売上高」から始まって、最後が「当期純利益」になります。

つまり、1年間の営業成績が、最後だけ見れば利益がでたかどうかを確認できる書類です。

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次回は、「3つの収益」について具体的に取り上げたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 10:41 | Comment(10) | 経理入門

2009年04月10日

わかりやすい経理実務のレッスンの7回目です。

今回は、「具体的な決算書のつくりかた 決算時の業務」について説明します。

復習のために決算書作成のための手順をフローチャートで見てみましょう。

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上のフローチャートのうち今回は後半部分、「決済時の業務」について説明します。

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取引というのは、脈絡もなく発生しますので、仕訳により記録されたものは、勘定科目ごとになとめていかないと、決算書が作成できません。

そこで、勘定科目ごとにまとめた帳面(これを総勘定元帳といいます)を作り、そこに仕訳を転記します。

ここまでの作業で、すべての仕訳は、総勘定元帳に勘定科目ごとに整理されています。

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今度は1年間を経過した時点で、それぞれ勘定科目ごとの合計を算出し、一覧表を作ります。この一覧表を「試算表」といいます。

決算書の基礎資料がここでできあがりです。

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上記までの作業でつくられた試算表から、決算整理仕訳と呼ばれる作業を行います。

そこから、資産・負債・純資産の科目を取り出して貸借対照表を作成し、収益・費用を取り出して損益計算書を作成すれば、決算書の完成です。

日々の取引を会計ソフトに正しく入力しておくことは、経理初心者の方でもコツをつかめば簡単にできます。正しくデータを入力しておくと、「決算書作成ボタン」をワンクリックで決算書が表示されますが、決算整理仕訳の作業が抜けていると、正しい決算書にならないので要注意です。決算整理仕訳ができるようになるまでは、税理士などの専門家にチェックを依頼されることをお勧めします。


さてここまでの連載でおおきな経理の流れの説明は終わりです。

次回からは、より深く「損益計算書」「貸借対照表」について具体的な内容について取り上げたいと思います。




posted by 水原会計事務所 at 09:40 | Comment(11) | 経理入門

2009年04月08日

わかりやすい経理実務のレッスンの6回目です。

今回は、「具体的な決算書のつくりかた」について説明します。

決算書作成のための手順をフローチャートで見てみましょう。

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上のフローチャートのうち今回は、「日々の業務」について説明します。

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簿記はあくまでも決算書を作成することが目的ですから、企業活動で生じる様々な取引の中から、決算書に関係する取引を抜き出します。

具体的には、資産・負債・純資産・収益・費用の各勘定科目に影響を与える行為です。これらの行為を認識することが簿記の第一歩となります。


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取引を認識したら、次は、その取引を「仕訳」という技術で記録していきます。

仕分とは簡単にいうと、決算書を構成する資産・負債・純資産・収益・費用の項目を、決算書の表示形式にならって、右(貸方)、左(借方)と分けていく行為をいいます。


ここまでの流れが「日々の業務」になります。

次回は、「決算時の業務」について取り上げたいと思います。

posted by 水原会計事務所 at 10:10 | Comment(10) | 経理入門

2009年04月06日

わかりやすい経理実務のレッスンの5回目です。

今回は、「決算とは何か」について説明します。

会社やお店は、何十年間にもわたり継続して存在することが前提になっていますので、一定期間を区切って会社がどれだけの業績を上げているかを把握する必要があります。

この一定期間を会計期間または事業年度といい、通常の会社は1年間になっています。

会社の場合には会計期間を会社の都合で自由に決められますが、個人事業の場合には1月1日から12月31日の1年間と決まっています。

「決算」で作成する代表的な書類として、「損益計算書」と「貸借対照表」があります。

まず「損益計算書」について簡単に説明します。

1会計期間でどれだけ「収益」があり、それに対してどれだけ「費用」を使ったということから、最終的に会社がどれだけ利益をあげたかを計算します。

この計算を損益計算といい、その計算過程をあらわした財務諸表が、損益計算書と呼ばれるものです。この詳細については別の機会に説明をする予定です。

次に「貸借対照表」について簡単に説明します。

会社の財政状態を、資産、負債および純資産の構成状態を、資産は左側に、負債および純資産は右側に記入して表示した書類です。この詳細についても別の機会に説明をする予定です。

「損益計算書」と「貸借対照表」のイメージは下記のとおりです。

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次回は、「具体的な決算書のつくりかた」について取り上げてみたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 11:32 | Comment(7) | 経理入門

2009年04月03日

わかりやすい経理実務のレッスンの4回目です。

今回は、経理の仕事を行う上で「経理に必要な知識」について説明します。

経理に必要な知識は次の3つを学ぶことをお勧めします。

「簿記」「税務の知識」「経営会計」

まずは「簿記」の知識ですが、簿記とは、日常の会社で発生するさまざまな取引を、仕分けという技法を駆使して記録し、決算書を作成する技術のことをいいます。

したがって、経理を学ぼうとする人は真っ先に取り組むことをお勧めします。まずは日商簿記3級の簡単なテキストから日常的な経理処理の仕訳について学ばれてはいかがでしょうか。

決算書の作成については、日商簿記2級程度の商業簿記の知識が要求されますが、支店がいくつもある大会社や海外取引が多い会社以外の決算であれば、2級程度の知識があれば会計ソフトを利用して決算書を作成することは可能になります。

つぎは、「税務」の知識ですが、この部分は税法改正があると納税の仕方が変わったり、経理処理の選択方法で納税額がかわったりするので、税理士に任せるか相談をすることをお勧めします。

基本的な事項は、法人税申告・消費税申告の仕方についてのテキストが市販されていますので参考にされてはいかがでしょうか。ただし、これらの本は簿記の知識があることを前提に書かれていますので、簿記の知識が不十分なまま読まれると間違った理解をされることもありますので要注意です。

最後に、「経営会計」についてですが、この分野は経営者、財務担当者、後継者の方はしっかりと学んでいただきたいですね。会社の数字から会社のおかれている状況を読み取り、経営判断を行うためには何が必要かということを学ぶ必要があります。

「経営」の難しいのは実学ですから「これ」といった決まった形がないことです。同業他社の経営を参考にしながら差別化を図り、自社の「最適経営」を計画しなければなりません。

水原会計では、「経営者」「財務担当者」を対象にした経営計画作成支援に力を入れています。さすがにこの分野は会計ソフトに数字を入れたら勝手に結果が出てくるという性質のものではありませんので、税理士としての腕の見せ所でもあります。

次回は、「決算とは何か」について取り上げてみたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 10:37 | Comment(10) | 経理入門

2009年04月02日

わかりやすい経理実務のレッスンの3回目です。

前回は「決算書を作成する会計業務」についてのお話しましたので、今回は「経理」の3大業務の残り2つの「税務申告に関する業務」「財務・経営管理に関する業務」について取り上げてみたいと思います。

まずは「税務申告に関する業務」についてです。

決算書をもとに、法人税の申告書の作成をおこないます。法人税は、利益に対して税率をかけることで算出されます。しかし、決算書で算出された利益にそのまま税率をかけるのではありません。

公平の見地から利益にさまざまな調整を施した課税所得という金額に税率をかけて算出することになります。

たとえば、交際費については、企業会計上、事実に関するものであれば費用となります。しかし、法人税の計算上は、税額確保の見地から、資本金の額により一定の金額を超えた分に関しては、費用として認められません。

また、法人税の申告のほかに、消費税に関する業務も重要かつ複雑になってきていますので、正しく理解して、申告漏れや税金の納め過ぎがないようにしてください。

最後は「財務・経営管理に関する業務」についてです。

経営者や経営幹部が意思決定を行い、または経営活動の業績を評価するのに必要な情報を提供するための会計を経営会計(管理会計)といいます。

経営会計をしっかりと行い、経営者が求めている財務・経営管理資料を提出することは、経理の重要な仕事の一つです。

たとえば、決算書や月次決算の分析から自社の強み弱みを分析したり、経営計画の作成を支援したりすることがあげられます。

以上で、「経理」についての重要な仕事についての概略の説明は終わります。

次回は、これまでに説明した経理の仕事を行う上で「経理に必要な知識」について取り上げてみたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 10:33 | Comment(9) | 経理入門

2009年03月31日

わかりやすい経理実務のレッスンの2回目です。

「経理」というとなんだか難しそうな感じがしてしまう方も多いかと思いますが、大きく分けると次の3つになります。

(1)決算書を作成する会計業務

(2)税務申告に関する業務

(3)財務・経営管理に関する業務

これらの業務を総称して「経理」といいます。


今日は(1)決算書を作成する会計業務についてのお話です。

会計業務の基本は、毎日のお金の動きをすべて記録整理することです。

お金の動きというのは、実際の「貨幣」「紙幣」だけでなく、小切手や手形の管理や売掛金の回収、買掛金の支払いなども含まれます。

また、従業員の給料からの所得税の源泉徴収、厚生年金や健康保険等の社会保険料の計算や手続き、残業代の計算といった給与計算業務もあります。大きな会社の場合には、給与計算は総務部や人事部でする場合もありますね。

このようにして毎日のお金の動きを1年間分まとめたものが、「決算書」と呼ばれる書類で、株主・債権者(お金を借りたりするため)・国(税金を払うため)等に対して会社やお店の財政状態や経営成績を報告します。

この「決算書」をつくる仕事が経理の仕事の中でも重要なものの一つですね。

決算書」の中でも重要な書類は、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」と「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」です。

「貸借対照表」は、会社の財政状態を表す書類で、どのくらいの財産があって、どのくらいの負債(借金)があって、過去の利益の蓄積や資本金がどのくらいあるかが書かれています。記号で「B/S」と表記されることもありますが、「バランス・シート」の略です。

「損益計算書」は、1年間の経営成績を表す書類で、どのくらいの売上げや収入があって、売上原価や営業費・一般管理費がどのくらいかかって、差引の結果利益が出た場合には、その利益に対して税金がかかります。記号で「P/L」と表記されることがありますが、「プロフィット・アンド・ロス・ステートメント」の略です。

実際にこれらの「決算書」を作成するためには、単純に1年間のお金の動きを集計するだけではできなくて、減価償却費や前払いした費用の差し引きなどの調整が必要になりますので、簿記の知識をもった担当者か税理士に相談しながら作成します。

最近は会計ソフトが便利になって、毎日のデータを入力するとボタン一つで「決算書」がきれいに印刷できるようになりましたが、それは「正しいデータ」が入力されているという前提が必要です。

「正しいデータ」を入力できるように、このブログではこれから注意するポイントについて説明をしていく予定です。

次回は、「税務申告に関する業務」「財務・経営管理に関する業務」について取り上げてみたいと思います。
posted by 水原会計事務所 at 10:25 | Comment(9) | 経理入門